認定こども園を設置するとき、様々な費用が、それも決して安価とは言えないコストが発生します。「不動産の取得」「内装工事」「備品や消耗品の購入」「広告宣伝」などです。ここでそれぞれの費用について解説し、コストの負担で困っている方をサポートする補助金や助成金のことについても紹介していきます。
不動産の取得にかかる費用
施設の土地や建物の購入、あるいは賃借にかかる費用が発生します。
立地や物件の状態により価格は大きく変動し、一概に「○○万円必要」などと言うことはできません。
また、単に取得しさえすれば良いというものでもありません。「安価でもいいからとりあえず買っておく」という対応をしていると、法令上の設置基準や指導監督基準をクリアできないおそれがあります。そのため施設の取得前に各種基準について理解し、それを満たすために必要な物件の取得を目指さなければなりません。
また、既存のビルにテナントとして開園を行う場合、当該ビルが認定こども園としての利用を認めているのかどうかを確認しておく必要があります。用途の変更を要する場合、避難経路であったり耐震性であったり、バリアフリーなどへの配慮も必要となります。
なお、独立行政法人福祉医療機構の調査によると、「首都圏における認定こども園等の建設費の平米単価は、平均42.4万円」であることがわかっています(坪単価約140万円)。これも費用を把握する上で1つの目安になるでしょう。
その他、不動産取得に際して、次のような費用が発生します。
- 印紙代
- 不動産取得税
- 仲介手数料
- 登記費用および司法書士報酬
登記手続を依頼しなければ司法書士費用は必要ありませんが、登記がきちんとできていないと重大なトラブルに巻き込まれる可能性がありますので、プロに頼んで処理することをおすすめします。
内装工事にかかる費用
認定こども園としての機能を備えるため、安全性に関わる基準をクリアするため、そして子どもたちが楽しく過ごせる空間を作るため、内装工事も必要になります。
工事作業そのものにかかる費用に加え、使用する素材、デザイン料なども発生します。創作室や絵本コーナー、その他豊かな教育環境を作るためこだわりを持たせようとすると、予算がどんどんと膨れあがっていきます。
特に近年は材料費が高騰することで工事全体に要するコストが増してきています。専門家に相談しつつ、予算とのバランスを考慮しつつ理想の形に近づけていくと良いでしょう。
備品・消耗品の購入にかかる費用
子どもたちが園で使用するテーブルや椅子、おもちゃや絵本、それらを収納する家具などの準備が必要です。職員が使用する用品や掃除用具、電化製品を要するのにも費用が発生します。
広告・宣伝にかかる費用
開園して利用者を呼び込むためには、広告・宣伝も不可欠です。せっかく良質な環境を整備した認定こども園を作っても、そのことを誰も知らなければ利用してくれません。
園児数の確保をするため、WebサイトやSNS、チラシやポスターなどを使って多くの人に開園情報を知ってもらいましょう。無料で出来ることも多くありますが、Web広告にしてもチラシの配布にしても、多くのコストをかけるほど多くの人にリーチできるようになります。
また、園児の募集のみならず保育士等の職員募集にかかる費用も予算に組み入れておかなければなりません。
専門家への依頼するときにかかる費用
条件に合った物件の紹介をしてもらうためには不動産業者、不動産取得後の登記は司法書士、その他認定こども園の開園に係る申請などは行政書士、場面に合った専門家を利用することでスムーズに開園をすることができます。
専門家の知見に頼らず起業者だけで対応しようとすると大変な作業となりますし、手続に不備があるとさらに負担は大きくなってしまいます。余計なコストが発生することもあるでしょう。
そのため基本的には各分野の専門家との協力体制の下、開園を目指すべきです。
ただし専門家の利用にも費用がかかります。依頼先により具体的な費用は異なります。依頼する内容に応じて数万円~数十万円が必要になることもあります。
活用できる補助金・助成金もある
上に挙げた費用以外にも細かな費用が多数発生することでしょう。認定こども園の運営を始まるまでに多大な負担がかかってしまいますが、潤沢な資金がない方でも補助金や助成金を利用することができればそれほど大きなリスクを負うことなく認定こども園を立ち上げられるようになります。
例えば「認定こども園施設整備交付金」というものがあります。
認定こども園の設置を促進する目的で都道府県が実施しています。施設整備事業に関する経費の一部につき交付を受けることができます。「幼稚園機能に関する新増改築や大規模改修等」に対し、国が1/2を、市町村が1/4を負担してくれることで、事業者は1/4の負担で良いことになります。「防犯対策整備として門やフェンス、防犯カメラの設置等」を行う場合にも同様の割合で負担を軽減することができます。
そのほか、太陽光発電の設置などの特殊付帯工事に対する助成金制度、使用木材に対する補助金制度もあります。自治体別に実施されている制度もありますので、各自治体にて確認を行うことも大切です。