認定こども園設立の流れ・手順について解説

近年「認定こども園」として教育・保育施設を設立する例が増えています。既存の保育所や幼稚園からの移行も少なくありません。
ここで認定こども園設立までの基本的な手順を解説していきますので、設立を検討されている方はこの記事で全体の流れをイメージしていただければと思います。

 

認定こども園の種類

最初に整理しておきたいのが認定こども園の種類です。

認定こども園には、①幼保連携型認定こども園、②幼稚園型認定こども園、③保育所型認定こども園、④地方裁量型認定こども園の4つの類型があります。
すでに保育所として活動をしているのか幼稚園として活動をしているのか、あるいはそのどちらでもない施設を認定こども園とするのか、新たに設立をするのか、といった背景によっても類型が変わってきます。

それぞれ設置主体として認められている組織に違いがある点にも注意しなければなりません。
例えば③④に関しては設置主体の制限がないものの、①に関しては国や自治体、学校法人、社会福祉法人に限られています。②に関しては社会福祉法人が設置することはできません。

なお、これら幼保施設の運営を始めるのに無理に法人である必要はありません。

しかしながら行政から施設型の給付を受けようと思うのであれば法人でなければなりません。

 

認定こども園設立の手順

認定こども園設立までは次の通りです。

 

  1. 公募調査・市区町村との協議
  2. 不動産調査・着工~竣工
  3. 認可申請
  4. 審査・認定

 

各過程の詳細を見ていきましょう。

 

STEP1.公募調査・市区町村との協議

設立しようと考えている市区町村にて、設置の基準や事業概要、認定に必要な事項について事前相談を行いましょう。事前相談にてよくわからないことがある場合には、認定こども園設立に強い行政書士にも相談してみることをおすすめします。

市区町村とは以下の事項につき相談をしておきましょう。

 

  • 開所年度
  • 認可定員
  • 認定区分別の定員
  • 施設整備改修の必要性
  • 認定こども園の類型(幼保連携型や保育所型などの種別)

 

また、専門家にも相談しつつ設備基準を満たすことができるかどうか、収益の試算なども進めていきましょう。

さらに、既存の保育または教育施設が認定こども園設置に関する認可申請を行う場合、申請前にすでに在籍している子どもの保護者に対して説明を行いましょう。認可後の施設がどうなるのか、教育や保育内容に変化はないのか、その他利用料金などについても理解を得るよう努めます。

なお、幼保施設の不足が生じているエリアだと、地方公共団体がその誘致に向けて公募を実施しているケースがあります。

この場合は需要に対して供給が間に合っていないと考えられ、チャンスと捉えることができます。

 

STEP2.不動産調査・着工~竣工

新たに施設を建てる場合、あるいは改修等を行う場合には不動産会社を探します。

現在農地である場所を利用する場合には、「農地転用の許可」も得なければなりません。農地は他の土地とは異なり法令上特別の取扱いを受けているため、農地以外の利用目的に使うのであれば別途手続が必要なのです。

認定こども園の施設基準は必ず満たさなければなりませんので、建築士に依頼して要件を満たす形で建物の設計をしてもらいましょう。

工事の完了後は自治体が現地の確認を行います。

 

STEP3.認可申請

次に、幼保施設設置の認可申請を行うため、区市町村に申請書類を提出します。

また、認定こども園の運営を始めるため法人を立ち上げる場合には、法人の設立手続も必要です。運営主体が「学校法人」「社会福祉法人」「NPO法人」などの場合には、法人設立の認可を受けなければなりません。この点についても行政書士に頼めばスムーズになるでしょう。法人の設立に伴い登記申請も必要になりますので、登記のプロである司法書士に依頼することもあります。

なお、認定こども園の申請書類には、認定要件に適合することを示す書類の添付も必要です。

 

STEP4.審査・認定

申請後、認可に向けて審議会等での審査が始まります。

審査期間には約1月を要することが多いです。ただし関係する機関に意見照会を行う場合にはさらに期間を要しますし、書類の内容に不備が含まれている場合には、修正を行うことになりさらに認可までの期間は長くなってしまいます。

申請してすぐに活動を始められるわけではありませんので注意しましょう。
多数の書類作成を行うことになりますし、不備があると認可時期が遅くなったり最悪の場合には認可されなかったりといった事態も起こりかねません。できるだけスピーディに、そして認可を受けやすくするためにも各種専門家の力も借りつつ認定こども園の設立を進めていくことが望ましいです。