学校法人・社会福祉法人による認定こども園の設立について解説

認定こども園は様々な法人が設立することができます。その中でも比較的多いのが「学校法人」や「社会福祉法人」による設立・運営です。

ここではこれらの法人が認定こども園を設立する際に知っておきたいこと、そして学校法人や社会福祉法人ならではの事情についても解説していきます。

 

認定こども園について

認定こども園を設立する上では、その仕組みを理解しておく必要があります。

以下4つの類型があるのですが、学校法人はいずれの類型で設立することもできるところ、社会福祉法人の場合には幼稚園型の認定こども園を設立することはできません。これに対して保育所型と地方裁量型に関しては設置主体の制限が設けられておらず、どの法人でも設立することができるとされています。

国や自治体もこれらの認定こども園を設立することはできますが、民間の方が設立する場面を想定するのなら、現状の法人あるいはこれから設立しようとしている法人の種類が重要になってきます。特に幼稚園型に関しては設置主体が学校法人に限定されていますので、その意味では幼稚園型は設立ハードルが高いとも言えます。

 

  1. 幼保連携型
    保育所的機能と幼稚園的機能を併せ持つ単一の施設
  2. 幼稚園型
    認可幼稚園が保育時間を確保するなど保育所的機能を備えることで認定こども園になるタイプ
  3. 保育所型
    認可保育所が、保育を要する子ども以外も受け入れるなど幼稚園的機能を備えることで認定こども園になるタイプ
  4. 地方裁量型
    保育所や幼稚園、いずれの認可もされていない施設が、認定こども園としての機能を備えるタイプ

 

なお、保育所や幼保連携型・保育所型・地方裁量型の認定こども園の設立にあたり必ずしも法人を設立する必要はないのですが、行政から施設型給付を受けようとするのであれば法人でなくてはなりませんので要注意です。

 

認定こども園の設立基準

設置主体による違いはありませんが、認定こども園の基本的な設置基準についても知っておかなければなりません。

例えば「職員の数」や「職員の資格」にも制約があります。

例えば満4歳以上の幼児であれば30人に対して1人がつけば良いのですが、0歳児には3人に対して1人がつかなければなりません。

職員の資格も子どもの年齢に応じて異なります。0歳から2歳児に関しては保育資格が必要ですが、3歳児以上に関しては幼稚園教諭免許・保育士資格のいずれかで良いとされています。ただし学級担任には幼稚園教諭免許が必要です。

その他、「園舎の面積」「保育室の面積」「屋外遊技場の面積」に関するルールもありますので、一つひとつ注視していくことが大切です。

 

学校法人による認定こども園設立の現状

学校法人が設立している教育施設としては幼稚園が主流です。モンテッソーリ教育の導入であったり自然環境を重視したり、作法を重んじたりなど、独自の方針で運営をしているケースも多いです。

しかし認定こども園の制度ができてからは、利用者のニーズに合わせて幼稚園型の認定こども園、幼保連携型の認定こども園への移行が進んでいます。

文部科学省が公表している資料によれば、2015年に497の法人が幼保連携型として認定こども園の運営を始めたことが明らかになっており、2019年にはさらに増え、参入した法人は1006にまで上っています。

その反面、幼稚園を運営する学校法人については2015年から2019年で、4805から4412にまで減少しています。

 

社会福祉法人による認定こども園設立の現状

社会福祉法人は「社会福祉事業の遂行」を主目的とする法人です。

社会福祉事業とは社会福祉法第2条に規定されている第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業のことを指し、その他公益事業や収益事業も行うことができるとされています。

この基本に則り、幼保連携型や保育所型、あるいは地方裁量型での認定こども園の設立も可能とされています。介護や医療のみならず、「保育」も社会福祉事業に含まれるからです。実際、多くの社会福祉法人は各種福祉施設や医療機関の運営、そして保育所の運営も行っています。

社会福祉法人が認定こども園を設立する場合、以下の点で特色があると言えます。

  • 税金や補助金の面で優遇されており運営費に余裕があるケースが多い
  • 低利での融資が受けやすい
  • 分園・姉妹園の設立数が少ない

 

認定こども園設立の流れ

最後に、認定こども園設立までの流れを簡単に示します。

 

  1. 公募調査・市区町村との相談
    自治体が幼保施設の誘致をするために公募を実施していることがある
    区市町村にて設立の基準や事業概要、認定の時期等の事前相談を行う
  2. 不動産調査・物件購入
    幼保施設に適した不動産を探し、購入等を進める
    認定こども園の設立基準と照らし合わし、必要とされる部屋や設備を備えられるかどうかを確認する
  3. 認可の申請
    市区町村に申請書類を提出して幼保施設設置の認可申請を行う
  4. 審査を受ける
  5. 認定
    審査の結果、適格であることが認められれば、設置認可書が発行され、認定こども園としての事業が開始できるようになる

 

設立できるかどうか、そして設立までの詳細な手順についてはケースバイケースですので、専門家に相談しつつ進めるのがおすすめです。