子ども・子育て支援新制度とは? 制度の概要と施行後に変わったポイントについて

2015年から、子ども・子育て関連3法に基づく「子ども・子育て支援新制度」が施行され、地域の実情に合わせた複数の支援策が同制度により講じられています。
当記事ではこの制度の概要と、制度によって変わったポイントをまとめましたのでご参照ください。

子ども・子育て支援新制度とは

子ども・子育て支援新制度は、子ども・子育て関連3法を根拠とする、主に幼児期の子どもを対象とする教育や保育の拡充を目指す制度のことです。
※子ども・子育て関連3法:①子ども・子育て支援法、②認定こども園法の一部改正法、③児童福祉法の一部改正等関係法律の整備法のこと。

制度の実施主体は市区町村であり、地域での子育て支援にも力が入れられています。子育て状況、ニーズについては地域による差も大きいためです。
また、企業に対しても子育て支援を求めるなど、多方面から支援策の拡充をしています。これら多数の取り組みにより子育て支援全体の量、そして質の向上が図られています。

制度の要点

同制度のポイントを整理すると、次のようにまとめられます。

  1. 認定こども園・保育所・幼稚園および小規模保育施設等への財政支援
  2. 認定こども園制度の改善と普及
  3. 地域の子育てニーズに対応できる子育て支援事業の充実
  4. 消費税引き上げ等による社会全体での財源負担
  5. 有識者や子育て当事者等が子育て支援政策のプロセスに参画できる仕組み(子ども・子育て会議)の創設

具体的には、教育や保育に関しての選択肢を増やし、すべての家庭が各々求める支援を受けられるようにすること。より子どもに目が行き届くよう、認定こども園等における職員配置ルールを改善すること。職員に対する処遇を改善すること、などが新制度によって進められました。

 

子ども・子育て支援新制度で変わったこと

次に、子ども・子育て支援新制度によって変わったポイント、以下に焦点をあてて解説していきます。

  • 「地域型保育」の園の創設
  • 地域でする子育て支援の充実
  • 仕事との両立を支援する制度の創設

「地域型保育」の園の創設

子どもを保育・教育する施設として、認定こども園や保育所、幼稚園などのタイプがありますが、これらに加えて「地域型保育」というタイプが新たにできました。
原則として20人以上から構成される保育所よりも少人数で構成され、さらに0~2歳の子どもを対象に保育をする事業がここに該当します。
※卒園後の通い先を確保するため連携施設が設定されており、優先的に利用できるようにするなど、子どもが3歳になった場合でも切れ目のない保育を受けられる。

利用時間も園によっては夕方以降の延長保育も実施するなど、多様なニーズに応えることのできる施設として期待されています。なお、利用ができるのは共働き世帯や介護等の事情で家庭での保育が難しい保護者です。
また、地域型保育はさらに4つのタイプに分けることができます。

  1. 家庭的保育:定員5人以下できめ細かい保育を行う。
  2. 小規模保育:定員6〜19人と家庭的保育に近い雰囲気で、きめ細かい保育を行う。
  3. 事業所内保育:企業の事業所に設置する保育施設で、従業員の子どもだけでなく地域の子どもも一緒に保育を行う。
  4. 居宅訪問型保育:障害や疾患等で特別のケアが必要なケースなどに、保護者の自宅内で1対1の保育を行う。

地域でする子育て支援の充実

あらゆる子育て家庭を支援、地域の問題を解消するため、多様な施策が講じられています。
例えば「病児保育」に関する仕組みが新制度によって創設されました。「保育中に体調が悪化した子どもを送迎して、病児保育に対応する施設で保育する」ためのしくみです。
他にも各地域で実施される支援制度として次のようなものがあります。

利用者支援

子育てに関する各種支援策について案内し、「どんなサービスがあるのかわからない」「施設の利用手続きはどうしたらいい?」といった悩み解決を目指す。

必要な情報の提供、施設の紹介、利用にあたっての支援など。

放課後児童クラブ 小学生が放課後に過ごせる場所を提供する取り組み。保護者が仕事で昼間自宅にいない場合でも、小学校の余裕教室や児童館等で過ごせるようにする。そのための人材確保、教室の整備などを進める。
一時預かり 急用やリフレッシュをしたいときでも子どもを預けられるようにする取り組み。

他にもさまざまな枠組みが設けられていますので、役所の窓口で利用できる制度はないか相談してみると良いでしょう。

仕事との両立を支援する制度の創設

企業による子育て支援を応援するための制度も作られました。これにより、企業が事業所内に保育施設を設けたときやベビーシッター派遣サービスを利用したときなど、企業が費用負担をしたときの一部について助成をすることが可能になっています。
「企業主導型保育事業」と「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」の2つのタイプがあります。

  • 企業主導型保育事業
    • 従業員のために設置した保育施設の運営費用について助成が受けられる。
    • 複数の企業で協力し、共同設置する場合にも適用を受けられる。
  • 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業
    • 残業や夜勤が必要な場面でベビーシッターを利用したとき、利用料金の支援が受けられる。
    • ベビーシッター事業者がサービス向上に向けて実施する研修の費用に対しても支援が受けられる。

このように子ども・子育て支援新制度では子育てをしている個人に限らず、子育てをサポートしようとする事業者も対象とされています。