認定こども園や保育所などの幼児教育・保育施設は、「指導監査」を受けることがあります。これは法令に照らして一定以上の基準を適切に満たせていることをチェックするための制度です。
幼保連携型認定こども園においてどのように実施されているのか、具体的に何をチェックされるのか、などをここで解説しています。
指導監査とは
幼保連携型認定こども園に対する指導監査は、「設備・運営基準等の実施状況が法令等に照らし適正に実施されているか確認する」とともに、「必要な助言・勧告または是正措置を講じて各施設の適正な運営を確保する」ことを目的とした制度です。
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律、児童福祉法、子ども・子育て支援法などで、都道府県知事が監査を実施できることの根拠が定められており、各園は監査に協力する必要があります。
施設監査と確認監査がある
幼保連携型認定こども園に対する指導監査は、大きく①施設監査と②確認監査の2種類に分けられます。
施設監査 | ・認可基準その他の関係法令に基づく設備や運営の基準が維持されているかを確認する。
・たとえば、学級編成や職員配置の状況、認可定員の遵守状況、園舎設備の状況、事故防止対策、給食の衛生管理など。 ・都道府県、指定都市、中核市が実施主体。 ・「一般監査」は定期的に、1年に1回以上実施される。 ・「特別監査」は、違反や不正が疑われるような特殊な状況下で随時実施される。 |
確認監査 | ・利用定員や運営に関する基準の遵守、施設型給付費等の支給に関する業務の適正な実施について確認する。
・たとえば、利用者負担の徴収、利用定員の遵守、会計の区分、各種記録の整備状況など。 ・市町村が実施主体。 ・「集団指導」が必要に応じて実施、「実地指導」が計画的に実施され、さらに確認された情報を踏まえて特に必要があるときに「監査」のフェーズへと移行する。 |
監査でチェックされる項目
監査の種類にもよりますが、主にチェックを受けることになる項目は次のようになります。
- 職員の配置や運営状況
- 保育教諭等の配置数や資格保有状況などが配置基準に適合しているか
- 学級編成や利用定員が遵守されているか
- 教職員の勤務時間が適切に管理されているか
- 教育・保育内容
- 指導計画など、教育・保育に関する計画の策定状況
- 小学校との連携状況について
- 安全管理体制の状況
- 内科検診、歯科検診等の健康診断の実施状況について
- 感染症対策の実施状況について
- 安全点検の実施など、事故防止対策について
- 給食・食育
- 栄養管理の状況について
- 食中毒防止対策、衛生管理の実施状況について
- 食育計画の作成・実施について
幼保連携型認定こども園は「教育」と「保育」の両方を一体的に提供するという特徴があるため、教育内容の計画や小学校との連携状況などにも留意すべきでしょう。
違反が見つかるとどうなる?
もし、監査で違反状況が確認されると、その程度に応じて段階的な措置が講じられます。
- 口頭指導・助言
- 文書指導
- 改善勧告
- 改善命令
- 事業停止命令
- 認可取消
即座に業務停止などを命じられることは通常ありませんが、非常に悪質なケースなどでは起こり得ます。
また、指導を受けたときに従わず、改善措置をとらないときにもそのリスクは上がります。
さらに、多くの自治体では指導監査の結果を施設名とともに公表しています。適切に運営できていないことが知られると施設の運営に支障をきたす可能性も出てくるでしょう。