認定こども園の公立と私立の違い|運営者や経費、保育内容の差など

保育・教育施設にはいくつかの形態がありますが、「認定こども園」という同じ施設の枠組みであっても「公立/私立」の2種類に分けることができます。認定こども園に子どもを預ける利用者目線でも違いを感じることはありますし、園を運営する方目線では特に公立/私立による差を大きく感じることになるでしょう。

どのような違いがあるのか、ここで簡単に整理してみましたのでチェックしておきましょう。

 

公立と私立の違い

公立の認定こども園もあれば私立の認定こども園もあります。どちらも認定こども園ですので法令で定められた設置基準をクリアしていることに違いはなく、どちらかが一方的に優れているというわけではありません。

まず一番大きな違いとしては「園の運営者」が挙げられます。他にも「諸経費」や「園の利用者」などにも違いが表れます。

 

園の運営者

根本的な違いは園の運営母体にあります。

公立の認定こども園は市町村が運営の母体となっているのに対して、私立の認定こども園では社会福祉法人などが運営母体となっています。

既存の施設については、園のWebサイトや看板、あるいは当該地域の自治体ホームページなどからチェックできます。

園の情報を確認したときに自治体の名称が入っているのであれば公立であるとわかります。
一方、「社会福祉法人」「学校法人」「宗教法人」などの法人名が記載されているときは私立であるとわかります。歴史が比較的長い園なら社会福祉法人が運営していることが多いですが、比較的新しい保育園では「株式会社」や「NPO法人」が運営しているケースも増えています。

 

諸経費

私立の場合は諸経費の発生により利用者へ請求を行うことも比較的多いです。公立だとこうした保育料以外のところで費用がかさむことはあまり多くなく、利用者としては費用負担が少なく済みます。

例えば私立だと教材費や制服代が発生することがあります。その他「〇〇会費」などという名目で毎月数百円を請求するケースも珍しくありません。システム利用料や遠足などの費用を請求することもあるでしょう。

公立だと雑費の発生はほとんどありません。

 

利用者の居住エリアの広さ

公立の認定こども園を利用する方は、「自宅から近いから利用している」「職場から近いから利用している」など立地を理由に選ぶことも多いです。そのため自宅と園の距離が近いケース多く、結果的に小学校にそのまま同じメンバーで繰り上がることも増えます。

在園中から近くの小学校と密接につながりを持っていることもあり、保護者としてはその点において安心感が得られやすいという特徴も持っています。

一方の私立は「園の方針が気に入ったから選んだ」「サービスの内容が良いから選んだ」という理由を挙げることもよくあります。利用者の居住エリアは公立ほど偏っていないため遠くから通う方も珍しくありません。

 

教育方針・保育内容の差について

教育方針や保育内容に関しては、公立だとあまり特色がありません。良い言い方をすると「品質が一定」とも表現できます。

一方私立の場合は独自の方針に基づいて各園に特色があるといえます。しかし「品質にばらつきがある」という言い方もできるでしょう。

公立/私立という違いだけで分けられるものではないのですが、若干傾向に差があるのも確かです。

 

公立の場合

公立では保育・教育に関する内容が均一で、どの園を選択しても大きな差がないケースが多いです。同じ自治体であれば運営母体が同じですし、良くも悪くも認定こども園としての水準が同程度といえます。

また、運営母体が自治体であるということは保育士の先生などの職員も公務員です。私立に比べて勤続年数が長いベテランの保育士が揃っていることもありますし、職員に対する研修や勉強会のような教育の機会も同程度に与えられています。

 

私立の場合

私立では同じ市町村にある認定こども園であっても保育や教育の内容に差があることも多く、それぞれに異なる特色があります。

例えば外国語を学ぶ機会が子どもたちに与えられていたり、道徳や工作、体操、ダンスなど、それぞれの園が異なるジャンルに注力していたりもします。また、仏教やキリスト教などの思想に基づいた運営をしているケースもあります。

利用者としても園を選ぶ際に着目する重要な判断材料となりますし、園の運営者としてもどのようにアピールをするか、よく考えてサービス内容を決める必要があるでしょう。

ただ、完全に自由に保育内容を決められるわけではありません。国が出している保育指針に沿う必要がありますので、極端に大きな差はつけられません。