認定こども園は保育と教育を一体的に行う施設であり、その特徴についてはよく「幼稚園と保育所のいいとこ取り」などとも表現されます。しかし当然のことながらメリットしかないわけではありません。
園の開設・運営を行う方は各施設の良し悪しをよく理解しておく必要があるでしょう。ここで幼稚園や保育所と比較した認定こども園のメリット・デメリットを列挙しますので参考にしてください。
幼稚園と比べた認定こども園のメリット・デメリット
まずは幼稚園と比較した場合の認定こども園のメリットですが、次の点を挙げることができます。
- 保育所に通う2号認定の幼児でも預かることができる
- 保育所に通う3号認定の乳児(0歳児~2歳児)でも預かることができる
- 幅広い年齢層の園児を受け入れることで収入が多く得られるようになる
一方で、次のデメリットもありますので留意しましょう。
- 乳児を預かって安全に保育するためのノウハウが必要になる
- 2号・3号認定の園児を預かるため長期休みは取れない
- 長時間園を開くことになるため従業員の確保やシフト調整が大変
- 自園で調理ができる環境を整えるために増改築が必要になることもある
保育所と比べた認定こども園のメリット・デメリット
保育所と比較した場合の認定こども園のメリットとしては、次の点が挙げられます。
- 保育と幼児教育の両方を提供することができる
- 幼稚園としての性質を備えつつも給食を提供できるとアピールができる
0歳から通い続けていると保護者の就労状況・生活環境が変わることも珍しくありませんが、認定こども園であれば多様なニーズに応えることができ、この点を強みとしてアピールに使うことができます。
ただし、幅広くカバーするということはそれだけ園側が大変になるということも意味します。そのため保育所を運営してきた場合、認定こども園への移行に際して体制を大きく変化させなくてはなりません。これは幼稚園から認定こども園への移行とも共通するデメリットです。他にも、園側が自ら募集をかけて園児を集めることも必要ですし、収支計画、予算についても留意する必要があるでしょう。
認定こども園利用者にとってのメリット・デメリット
子どもを預けたいと考える親目線のメリット・デメリットも理解しておきましょう。利用者がどのようなことを求めているのか、何に不満を感じるのか、こういったことを知っておくことがより良い園の運営に繋がります。また、利用者目線でのメリットは園にとって大変なこともありますが、園児募集におけるアピールポイントとしても活用できます。
認定こども園を利用するメリット
幅広い年齢の子どもたちと交流ができる | 認定こども園ではさまざまな園児が集まる。縦割り保育を行えばより異年齢の子どもたちの交流が生まれ、同年齢のみの交流にはない体験ができる。 |
転園のリスクが下がる | 幼稚園の場合満3歳になるまで通うことができないため、それまで保育所に通って、その後転園をするケースもある。しかし認定こども園であれば転園をする必要がなく、そのまま幼児教育を受けさせられる。 |
給食がある | 幼児教育を受ける環境に子どもを置きつつ、給食の提供が受けられる。毎日お弁当作りに追われる必要がなくなり、時間的な余裕も生まれる。 |
一方で、幼稚園とは入園の仕方が異なり、入園に対するハードルが高くなるケースもあります。共働き世帯、1人親世帯などが優先されることから、評判が良い認定こども園の場合は入りたくても入れないという状況が生まれます。
その他の事柄についても、特に元幼稚園・元保育所であった施設が認定こども園に移行する場合は、環境の変化について利用者によく説明をしておく必要があります。