近年スタートした国の認可事業の一環で、「小規模認可保育園」が全国に設置されています。街でこの施設を見かけた方もいるのではないでしょうか。
その名称から、“小規模な保育園”というイメージは持たれているかもしれませんが、具体的にどのような施設かというところまで理解している方は少ないと思われます。この記事で小規模認可保育園について詳しく説明していきますので、参考にしていただければと思います。
小規模認可保育園とは
小規模認可保育園は、2015年から始まった「子ども・子育て支援新制度」の一事業です。
「子ども・子育て支援新制度」とは、乳幼児の保育や学校教育、子育て支援の拡充などを目的に作られた制度です。女性の社会進出や待機児童問題の解決などが期待されています。
そして小規模認可保育園については、多様な事業者が様々なスペースを活用し、柔軟性の高い保育環境を作り出すことが狙いとされています。
児童福祉法および子ども・子育て支援法を根拠とする施設で、「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」に沿って運営するものとされています。また設置基準等の詳細は各自治体が条例により定めることとされています。
小規模認可保育園の特徴
小規模認可保育園がその他の保育施設とどのように違うのか、特徴を以下に示します。
定員と対象年齢
一番の特徴は、子どもの“定員”と“年齢”にあります。
例えば認可保育園だと利用定員20人以上となっているのに対し、小規模認可保育園の定員は「6~19人」です。小規模認可保育園が運用されるまで19人以下の保育施設は認可外とされていました。しかし子ども・子育て支援新制度により、市町村の認可事業となっています。なお1~5人の施設については、家庭的保育園(保育室)として運営することが可能です。
また、対象年齢は「0歳児~2歳児」です。
つまり、0歳から、年度内に3歳になる子どもたちが利用対象とされています。いわゆる「乳児クラス」です。一般的な認可保育園だと0歳児から年度中に6歳になる5歳児までが対象とされていますので、こちらも大きな特徴といえるでしょう。
また、5歳児まで受け入れてくれる認可保育園だと、卒園まで在籍するとそのまま小学校に通い始めることができます。しかし小規模認可保育園だと2歳児クラスを卒業すると、小学校入学までに空白の期間ができてしまいます。
そこでこの問題を解決するため、卒園後の連携施設を設けるとする運用がなされています。連携施設への入園は優先されるといわれていますが、入園が保証されるわけではありません。そのため事前に各園、各自治体で確認を取っておくようにしましょう。
子ども一人ひとりと丁寧に関わることができる
小規模認可保育園では子どもの数が少なく、保育士の数が割合多くなります。そのため子ども一人ひとりと接する時間を長くすることができます。保育スペースが小さいことから目が届きやすく、一人ずつに丁寧に関わることができるとも考えられます。
待機児童問題の解消が期待できる
昨今、待機児童が社会問題にもなっており、その多くが3歳未満であるとわかっています。特に都市部で待機児童が多いのですが、これは単純に人口が多いことに加え、施設のスペースを十分に確保することが難しいという問題も関係しています。
都市部に大きな広場を設けた保育園を新設するのは、「土地がない」あるいは「土地が高い」などの理由でハードルが高いのです。
しかし小規模認可保育園であれば都市部での新設にも対応しやすいです。そのためこの制度により保育施設を拡充することができれば、待機児童の問題を解消に近づけられるのではないかとの期待が寄せられています。
小さなスペース、少人数制の小規模認可保育園だからこその特色といえるでしょう。
小規模認可保育園の3つの種類
小規模認可保育園は、下表のように「A型」「B型」「C型」の3つのタイプに分けられます。
|
A型 |
B型 | C型 |
職員数 |
保育所の配置基準+1名 |
保育所の配置基準+1名 |
子ども3人に対して1人の職員 |
資格 |
保育士 |
保育士を1/2以上 |
家庭的保育者 ※特定の研修を修了した保育士、または保育士と同等以上の知識・経験を有すると認める者 |
保育室 | 1人あたり3.3㎡
※2歳児は1.98㎡ |
1人あたり3.3㎡
※2歳児は1.98㎡ |
1人あたり3.3㎡ |
A型は、保育所の分園に近いタイプです。職員のすべてが保育士の資格を持つ点でB型・C型と大きく異なるといえ、また、人員も国の基準より1人多く配置することが求められています。
B型は、A型とC型の中間的なタイプです。職員の半分以上を保育士とし、国の基準より1人多く配置することに関してはA型と同じです。保育室の基準に関してもA型同様です。
C型は、家庭的保育に近いタイプです。自治体が認める「基礎研修」「認定研修」をクリアした方、あるいは保育士資格を持っていなくても実質的に同等以上の知識・経験がある方であれば職員として配置することができます。
また、0歳児から2歳児の3人に対し1人の職員が配置されていれば良く、年齢で区分されていない点でもA型・B型と違いがあります。
※補助者を置くときは子ども5人に対して職員2人で良い