これまでの保育・教育施設である「幼稚園」「保育所」のほか、近年は「認定こども園」の数も増えてきています。幼稚園や保育所と大きく性質が異なる、完全に別の施設ということではありません。従来施設の性質を引き継いで良いとこ取りをしたような施設になっています。
これからお子さんを預けようと検討している方にとっては、この認定こども園も選択肢の一つになってくるはずです。
そこで、この記事では認定こども園の入園手続きについて、その流れをかんたんに紹介していきます。
なお、内容については、各園、自治体によっても異なる場合があります。
あくまでも、一般的な内容として、ご参考にしていただければと思います。
認定こども園入園までの大まかな流れ
大まかな流れを最初に挙げておきます。
まず、(保育所や新制度に移行した幼稚園でもそうですが)認定こども園を利用する際には教育・保育給付認定を受ける必要があるということを理解しておきましょう。
1号~3号の区分があり、お子さまの年齢や保護者の方の仕事の状況などから認定可否がなされます。これにより、入れる施設や利用形態が変わってくることになります。
また、公立の小学校や中学校などと異なり、住んでいる地域と利用できる施設が密接に紐づいているわけではありません。認定区分に適合する園であれば自由に選択ができるため、最初に園探しから始めることになるでしょう。そこで説明会や見学などに参加しましょう。
次に、願書交付期間が始まりますので、願書を受け取り、必要事項を記入し、これを提出します。その後、提出した資料に基づいた判定、あるいは抽選などにより入園の内定または決定となります。
さらに入園手続きとして面接などを受けつつ、入園時期を迎えれば無事入園に至ります。
特に1号認定と2号・3号認定とで大きく内容が異なりますので、以下ではこの2つに大別して手続き等を説明していきます。
認定こども園の入園までにする手続き等(1号認定の場合)
認定こども園に、「1号認定」を受けて入園するケースを考えていきます。
1号認定を受けられるのは、「3歳以上」で「教育を希望する」お子さまの場合です。
教育施設の利用という形になるため、保護者の方に関しては働いているかどうかの要件は課されません。
幼稚園に通うのに相当するのがこの1号認定です。
説明会や園の見学に行く
まずは、どの園に入園するのか選定を行いましょう。園が実施している説明会や見学会などに参加し、実際に園内の様子を確認しに行くと良いです。
基本的に、説明会等の参加が必須の過程になっているわけではありませんが、いくつかの園を見て比べてみると、園によって運用や雰囲気が大きく違っていることに気付きます。保護者の方の考え方やお子さまに合いそうかどうか、先生の対応、日々の持ち物、保護者がしなければいけないこと、園庭や教室の広さ、様々なポイントを確認する貴重な機会となります。
必要書類の準備
出願する園を決めれば必要書類の準備に取りかかりましょう。
一定の時期になると資料が配布され始めますので、願書を併せて受け取り、内容を細かく確認しましょう。多数の記入事項がありますので、早いうちに必要事項の記載を済ませておきます。
利用申込
1号認定で利用を申し込みする場合、園に直接行います。
一般的には9月~11月ごろに願書交付、利用申込が可能となります。書類の不備によって申込に遅れることのないよう、余裕をもって申し込みましょう。
面接または抽選を行う
願書を提出後、園にて面接を受ける、あるいは抽選が行われ、入園が決定します。
園によって具体的な入園の決め方が異なる可能性があるため、事前に必ずチェックしておくべきでしょう。
認定申請を行う
1号認定を受けるため、認定申請を行わなければならないのですが、1号の場合には園からの内定を受ければ当該園が認定申請をしてくれます。渡された教育・保育給付認定申請書に必要事項を記入し、園に提出しましょう。
無事認定された場合の認定証も、市区町村から園を通じて交付がなされます。
入園準備を行う
1号認定も済ませ、入園が確定すれば、入園準備を始めましょう。
園による入園説明会への参加、制服の採寸から引渡し、健康診断、園で利用する用品の購入などを進めます。
なお、園によって必要になる手続きが異なる可能性がありますので、各園に対し個別の確認をしておくことが大切です。
認定こども園の入園までにする手続き(2号認定・3号認定の場合)
次に、2号認定・3号認定を受けて認定こども園に入園するケースを説明していきます。
2号認定は、「3歳以上」で「保育を希望」している子ども。3号認定は、「3歳未満」で「保育を希望」している子どもが対象です。
このように、2号および3号の区分は保育園相当ですので、市区町村に対して保育の必要性を示さなくてはなりません。1号の場合よりも入園のハードルは少し上がることとなります。
例えば、「共働き世帯である」「親族の介護などがあり家庭での保育が困難」といった事情が必要です。
各手続きに関しても、園との直接のやり取りではなく、市区町村の窓口を介したやり取りがメインになってきます。
説明会や園の見学に行く
手続きの方法は1号認定と大きく異なりますが、2号および3号においても説明会等への参加の重要度は変わりません。事前に保育を実施している認定こども園を探し、見学に行きましょう。
特に保育を希望する家庭であれば保護者の方が働いていることが想定されますので、「預けることに際してかかる日々の負担がどの程度か」という視点を持って見学することが非常に重要です。毎日の荷物がどの程度多いのか、自宅や職場との距離なども考慮することが大切です。
必要書類の準備
9月ごろから書類が配布されますので、早期に受け取り、申請書類への記入等も行いましょう。
利用申請・認定申請を行う
記入を済ませた必要書類を揃え、希望する園がある市区町村役所の窓口に提出しに行きましょう。インターネットを介した電子申請や郵送での申請ができるケースもあります。
提出時期はおおむね11月ごろです。
また、利用申込と同時に、教育・保育給付認定申請(2号または3号認定)も行います。
その後家庭保育が困難であることが認められれば、認定通知書が送付され、園の利用可能な時間も決まります。
ただし園への入園内定は、1号認定の場合と異なり、施設の空き状況に加え提出書類から評価したポイントを用いて判定されます。近くに祖父母が住んでいるかどうか、親の就業時間の長さ、ひとり親かどうか、自宅勤務かどうか、兄弟が当該園にいるかどうか、など様々な事項につきポイントが定められています。ポイントの大きさや考慮される事項に関してはエリアによって異なります。
定員オーバーの場合は、このポイントが高い順に入園が決まり、市区町村から「調整結果通知書」が送付され、内定に至ります。
なお、あくまでこの時点では「内定」であり、内定通知書に記載の今後の手続きを済ませなければ入園は確定しません。
面接を行う
必要な手続きの一つに、面接があります。園にて、子どもと一緒に面接を受けるのが一般的です。ここでは審査というよりも、入園に必要な事項を伝えるという意味合いが強いといえます。
この説明を受けた後、納得がいけば利用契約を結び、入園が確定します。
入園確定後は1号認定同様、用品の準備等を進め、入園に備えましょう。
認定こども園への申込における必要書類
認定こども園への申込に際して、1号認定の場合には「入園申込書」「支給認定申請書」が最低限必要になります。
これに対し2号・3号認定の場合は「入園申込書」「支給認定申請書」に加え、「家庭状況届」が必要です。
さらに、保育が必要な状況であると証明するため、以下の書類も用意しなければなりません。
- 会社員:勤務証明書
※育休産休明けなら、復職に関する証明書も - 自営業:事業申告書
- 求職中:就労誓約書、ハローワークカードの写し
これはあくまで一例であり、実際の必要書類は市区町村によって異なることがあるため、要チェックです。
「手続きが複雑でよくわからない」「自分で上手くできるか不安」という方は、一度行政書士事務所に相談を行うと良いでしょう。