認定こども園とは?保育所・幼稚園との違いや特徴を解説

従来は、保育所( 保育園)と幼稚園、2つの保育・教育施設が一般的でした。しかし最近では「認定こども園」という言葉もよく耳にするのではないでしょうか。これは単に施設固有の名称として使われているものではありません。保育所や幼稚園に並ぶ、施設区分の正式な名称なのです。

ここではこの認定こども園について、どのような施設なのか、保育所や幼稚園などと比べてどのような特徴があるのか、といったことを解説していきます。

認定こども園とは保育所と幼稚園の性質を併せ持つ施設

認定こども園は、保育所や幼稚園よりも後発の制度・施設です。

端的に説明をすると「保育所と幼稚園の性質を併せ持つ施設」と表現できます。それぞれの良さを有していますし、実際、幼稚園や保育所からの移行、新設も全国で多数行われています。

なお、2006年に認定こども園制度が始まっており、まだその歴史は20年もありません。しかし後発の制度であるが故、従来の施設では不十分であったニーズへの対応にも応えられるよう作られています。また、同制度ができたことにより、保育所の待機児童問題の是正などに効果があるのではないかとも期待されています。

認定こども園の特徴

それでは、以下で認定こども園の特徴を整理していきましょう。

機能の異なる4つのタイプがある

一口に「認定こども園」といっても、運営実態に応じて4つのタイプに分かれます。
地域によって異なる実情がありますし、保護者側 のニーズも異なることから、多くの方が利用しやすく多くの認定こども園がスタートできるよう、成り立ちや機能に応じた「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」が設けられています。

「幼保連携型」が最も一般的です。幼稚園的機能および保育所的機能双方の機能を単一の施設が持ちます。保育所的機能を有するため、土曜日の開園が原則とされるなど、開園日、開園時間に一定のルールが課されます。

「幼稚園型」は、元々幼稚園であった施設が保育所的機能を持つことで認定こども園になったというタイプです。認可幼稚園であるものの、保育を要する子どもに向けて保育時間も確保することになります。開園日や開園時間に関しては、地域の実情に応じて設定が可能とされています。

「保育所型」は、元々保育所であった施設が幼稚園的機能を持つことで認定こども園になったというタイプです。保育が必要な子どもに限らず受入れ、教育の要素も取り入れます。保育園に機能を追加するという形を採るため、開園日や開園時間には一定のルールが課されます。

「地方裁量型」は、元々幼稚園や保育所のいずれでもなかった施設を認定こども園として新たに設けた、というタイプです。開園日や開園時間は地域によって設定が可能とされています。

なお、幼稚園型や保育所型として認定こども園の認定を受けたとしても、元々有していた幼稚園や保育所としての位置づけを失うものではありません。

3つの認定区分で利用できる

認定こども園は従来の施設に比べて多機能になりますので、一緒に入園する子どもでも事情が異なっています。この事情に応じて3つの区分があり、利用者は「1号認定」「2号認定」「3号認定」のいずれかに認定されて入園することになります。そしてこの区分に応じた適切な保育・教育のサービスを提供できるようにしているのです。

「1号認定」は、幼稚園相当とされる区分です。保育が必要と評価される必要はありません。ただし、満3歳以上でなければなりません。

「2号認定」「3号認定」は保育所に相当する区分です。そのため保育が必要と評価されなければなりません。
2号では満3歳以上、3号では満3歳未満で利用が可能です。

なお、2号認定を受けて利用する子どもであっても、幼稚園利用を希望して1号の認定を受けることは可能です。

職員に求められる資格が異なる

幼稚園や保育所の職員となるには資格が必要です。しかし、施設に応じて必要な資格が異なっています。
幼稚園の場合には「幼稚園教諭」の免許が、保育所の場合には「保育士」資格が必要です。
他方、認定こども園の場合、基本的には幼稚園教諭と保育士両方の有資格者が望ましいとしつつ、厳密には施設の4タイプに応じて求められる資格が異なります。

例えば、最も一般的なタイプである幼保連携型では「保育教諭」の配置が求められています。「保育教諭」は、幼稚園教諭の免許および保育士資格を併有する者をいいます。
その他のタイプにおいては、満3歳以上のクラスでは同じく両資格の併有 が望ましく、満3歳未満のクラスでは保育士資格が必要とされています。よって、ある1つの園でも、職員によって保有資格が異なっていることもありますし、保有資格に応じて受け持つことのできるクラスに制限がかかることになります。

なお、条例によって別途ルールが定められている可能性もありますので、細かくは地域の条例の内容も確認する必要があるでしょう。

教育を受けつつ夕方まで保育を行う

様々な区分の子どもが1つの園にやってくるため、利用時間にも差異が生まれます。
0歳から2歳児クラスまでだと保育所的機能となるため、夕方までの保育が原則。園独自のルールで、さらに延長できるケースも多いです。

他方、3歳から5歳児クラスでは昼過ぎまで教育時間としつつ、保育が必要な場合には夕方まで保育を行うことになります。さらに延長が可能という運営をしているケースもあるでしょう。
よって、預かり時間が4時間~11時間程度と広くなるのも特徴と言えます。

認定こども園の利用状況(令和3年)

同制度ができてから、これまで十数年間経過しています。現状(令和3年)の施設数など、施設実態を最後に見てみましょう。

令和3年4月1日時点では、4つのタイプおよび公立・私立合わせて8,500以上の園数が記録されています。令和2年4月1日時点では8,016であったことが示されており、1年間で500以上もの園が新たに増えたこともわかります。
これまでの推移を見てみても、年に数百以上も園数が増加しており、特に私立での増加率が高いです。
その他、公立では保育所型が幼稚園型より多いのに対し、私立では幼稚園型のほうが多いという特徴もあります。

利用者については、1号認定が約32万人、2号認定が最も多く約48万人、3号認定は約27万人です。
どの年齢から入園させるのかは各家庭によって異なりますが、一度入園させてから退園をするケースは少ないため、0歳児クラスから5歳児クラスにかけて利用者数は多くなっています。
※内閣府「認定こども園に関する状況について」参照(https://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/pdf/kodomoen_jokyo.pdf

今後も認定こども園として施設を運営していく例は増えていくことでしょう。そのため利用者も、現に保育・教育施設を運営している方も、認定こども園のことやそのルールを知る必要性が高まっていくことでしょう。新たに認定を受けようと考える運営者は、行政書士事務所など専門家に一度相談をしてみてはいかがでしょうか。