認可外保育所から認定こども園を設立する手順・認定基準について解説

認定こども園を設立するためには、いくつかの要件を満たした上で所定の手続を行う必要があります。特にここでは認可外保育所から移行をするための方法について、必須となる認定基準を中心に解説していきます。

 

STEP1:認定こども園の認定基準を確認する

まず、認定こども園を設置するにあたって必要不可欠な認定基準を確認しましょう。

様々な基準が設けられていますが、ここでは、特に「人材」と「施設設備」の2点に注目して見ていきます。

 

人材について

クリアしなければならない要件として特に重要になるのが「人材」、つまり園で働く職員に関することです。

 

例えば園児の年齢によって職員1人に対する園児の人数が異なります。また、0歳児~2歳児に配置する職員には保育士資格が、3歳児~5歳児に対しては保育士資格もしくは幼稚園教諭免許が必要になります。

 

詳しくは、以下の基準を参照ください。

職員の配置

0歳児の場合

園児:職員=3:1以上(3人につき1人以上)

満1歳児・満2歳児の場合

園児:職員=6:1以上(6人につき1人以上)

満3歳児の場合

園児:職員=20:1以上(20人につき1人以上)

満4歳以上児の場合

園児:職員= 30:1 以上(30人につき1人以上)

職員の資格

0~2歳児の場合

保育士資格

3~5歳児の場合

幼稚園教諭免許または保育士資格のいずれかが必要

 

施設設備

また、「施設設備」についての基準も非常に大切です。

園舎や保育室、屋外遊技場(園庭)などについて、それぞれ要件にクリアする必要があります。

詳しくは、以下の基準を参照ください。

園舎

1学級の場合

180㎡以上

2学級以上の場合

320+100×(学級数-2)㎡以上

保育室

満1歳児

園児1人につき乳児室1.65㎡以上・ほふく室3.3㎡以上

満2歳以上

園児1人につき1.98㎡以上

屋外遊技場

満2歳児以上

園児1人につき3.3㎡以上

満3歳児以上

・2学級以下の場合  330+30×(学級数-1)㎡以上

・3学級以上の場合  400+80×(学級数-3)㎡以上

 

これらの認定基準の他にも、保育時間、根拠となる法令、施設の目的などについても認可外保育園の基準とは異なるため、見落とさないよう注意しながら確認する必要があります。

 

STEP2:課題点を把握する

STEP1の認可要件の確認が終われば、次に認定こども園へ移行するにあたり支障となり得る課題を考えます。そこで、現在運営している保育所のどの点をどのように改善すれば要件を満たすことができるのか、という点を洗い出します。

 

このとき、発生し得る課題としては以下が考えられます。

 

人材に関わる課題

  • 人員不足
  • 有資格者(保育士・幼稚園教諭)不足
  • 調理員がいない
  • 嘱託医がいない

 

施設設備に関わる課題

  • 保育室の面積が足りない
  • 屋外遊技場がない
  • 施設付近に公園がない
  • 調理室の確保ができない
  • 児童用トイレがない

 

認定要件と現状を照らし合わせて、職員は足りているか、施設の面積は足りているかといったことを明確にしていきましょう。

 

STEP3:改善計画を立てる

現状の課題が明確になれば、次はそれをどのように解決していくのか計画を立てていきましょう。

大規模な施設設備の改修などが必要になる場合、改善計画と共に資金計画を練ることも大切です。

 

また、自治体の政策支援・助成を活用できることがあります。活用できる支援の一例としては以下のようなことが挙げられます。

  • 認可化移行可能性調査支援
  • 認可化移行助言指導支援
  • 保育所等整備交付金
  • 認定こども園施設整備費交付金
  • 認可外保育施設保育士資格取得支援
  • 保育士・保育園支援センター設置運営事業
  • 保育人材就職支援

 

これらは各都道府県や市町村によって、活用できるかどうか、申請方法、助成金額などが異なります。そのためこども園を設置する自治体へ事前に確認する必要があります。

 

STEP4:実際に課題を解決する

STEP3で立てた計画をもとに、実際に課題を解決していきましょう。

その上で、認定こども園の基準を満たす運営を行うのです。

 

その後、自治体へ申請書類を提出し、基準を満たしているかどうかの審査を受けます。審査に合格したら認定書が交付され、認定こども園として認められるという流れになります。

 

 

なおここで解説した内容は一般的な内容・流れです。自治体によって異なるケースもありますので、自治体や地域の専門家への相談、確認も随時行いながら進めていきましょう。