保育の必要性があれば幼稚園や認定こども園(幼稚園枠)でも本来の時間を超えて子どもを見てもらうことができます。この預かり保育についても無償化の対象になっていますが、上限額が設けられており、その範囲内で十分な保育が受けられるとは限りません。
しかし各自治体で、その利用をサポートするため補助金や助成金制度を設けているケースもあります。
預かり保育無償化の基本的な範囲
一定要件を満たせば、月額11,300円(2号認定の3~5歳児)まで預かり保育も無償で利用可能です。3号認定の満3歳児・住民税非課税世帯に関しては月額16,300円まで無償の範囲が拡充され、その範囲内で、利用者の費用の負担なく幼稚園等利用後の保育サービスを利用できます。
ただし、上限の金額内に収まったとしても負担をゼロにできるとは限りません。
給付額の計算上、日額単価(450円)が設定されており、この金額を超える利用料が発生しているときは11,300円または16,300円以内であっても利用者に負担が発生することがあるのです。たとえば1日あたりの利用時間が長かったり、利用している園で定められた利用料が高かったりすると、無償にできない割合が高くなってきます。
自治体独自の補助・助成制度をチェック
預かり保育を利用するとき、その他保育に関するサービスを利用するときも同様ですが、各自治体が独自に運用している制度もチェックしてみましょう。
子育て支援が手厚い自治体であれば預かり保育の無償化の範囲を実質広げるような制度を設けているケースもあります。
いくつか例を見てみていきます。
松戸市(千葉県)の例
千葉県松戸市では、独自の制度として「松戸市私立幼稚園預かり保育助成金」というものを用意しています。
国が設けた無償化制度ではカバーしきれない預かり保育料が発生するときでも、その費用負担を軽減することができます。
具体的には、全国的に無償とされている11,300円に加え、上限3万円(月額)を助成するという内容です。さらに同制度では「保育の必要性」の要件を緩和しており、就労に関しては一般的に月当たり64時間の労働を求めているところ、ここでは48時間以内で良いとしています。これにより補助が受けられる方の範囲も広がっています。
練馬区(東京都)の例
東京都練馬区においては、1ヶ月あたりの支払い額が11,300円を超えるとき、3,700円を上限に助成する制度が設けられています。
ただし、単純に15,000円まで無償になるわけではなく、上述したように日額単価との比較を行い定まる給付額に3,700円を加算する形になります。
たとえば毎月18日間利用しており保育料15,000円を支払っているとします。このときまずは日額単価450円×18日で算出される8,100円と15,000円を比較し、低い方の8,100円が給付額として採用されます。ここまでは一般的な無償化と変わりありません。
そして練馬区独自の助成金制度で、11,300円と15,000円の差額にあたる3,700円が給付額に加算され、8,100円+3,700円=11,800円が無償になるという計算を行います。
この例では実際の負担額は15,000円ですが、その満額は受け取れていません。しかしながら、本来8,100円までしか給付されなかったはずが、独自の制度によって3,700円分の負担が軽減できています。
川崎市(神奈川県)の例
神奈川県川崎市では、地域型保育事業等※の卒園児が認定こども園や幼稚園で実施される一時預かりを利用したときの補助を拡充する制度を運用しています。
①地域型保育事業等を卒園していること、②保育の必要性について認定されていること、そして③卒園後すぐの4月1日において幼稚園型の一時預かり事業を行う市内の認定こども園または幼稚園に入園していること、の3つの要件が課されているのが特徴的です。
要件を満たすことができれば、無償化の上限である11,300円からさらに5,000円を補助してもらうことができます。
自治体窓口で最新情報を確認しよう
国の実施する制度のほか、ここで紹介したような各自治体独自の制度にも注目してみましょう。ネットで探す、あるいは直接窓口で問い合わせるなどして確認すると良いです。
また、最新の情報にアクセスすることが重要で、年度によって運用実態が変わることがありますし、前年まで何も制度がなかった自治体で新たな制度が始まることもあります。