従来は「保育所」と「幼稚園」が幼児の保育施設・教育施設の代表例でしたが、近年は「認定こども園」の設置も増えてきました。
しかしそれぞれの違いがよくわかっていないという方も多いのではないでしょうか。
以下で保育所・幼稚園・認定こども園の違いを整理するとともに、認定こども園の4つの類型も紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
各施設の比較
保育所と幼稚園、そして認定こども園の違いを簡単に下表にまとめました。
保育所 |
幼稚園 |
認定こども園 |
|
趣旨・目的 |
保育施設
保護者の委託を受けて子どもを保育するための施設 |
教育施設
幼児に対する教育の環境を与え、心身の発達を助長することが目的 |
保育と教育の両方を行う施設
保護者の子育て支援を総合的に行うための施設 |
対象者 |
保育が必要な乳児および幼児 | 満3歳から小学校就学前までの幼児 | 保育の必要性問わず受入れる |
教育・保育の時間 |
原則として8時間
夜間保育の実施も可能 |
標準4時間
預かり保育の実施により長時間の保育も可能 |
4時間利用も8時間利用も可能 |
職員の資格 |
保育士資格 | 幼稚園教諭 | 0歳~2歳児に対しては保育士資格
3歳~5歳児に対しては両方の資格併有が望ましい |
職員の人数 |
保育士1人あたり
乳児なら3人、1歳~3歳未満児なら6人、3歳から4歳未満児なら20人、4歳児以上なら30人まで |
1学級あたりの幼児数につき設置基準は原則35人まで | 0歳~2歳児までは保育所と同様の人数
3歳~5歳児まではおおむね職員1人あたりに子ども20人~35人 |
保育料 |
保護者の課税状況による
市町村長が決定する 市町村に対して納付する |
各施設の設置者が決める
幼稚園に対して納付する |
利用時間を踏まえて設置者が決定する |
利点 |
保護者が就労できる
0歳児から預けられる 土曜日の保育もできる 長期休みがない |
家庭以外での教育ができる | 保育所と幼稚園の利点が取り入れられる
保護者の就労状況の変動に関係なく同じ施設が利用できる |
それぞれの施設について、もう少し詳しく見ていきましょう。
保育所の特徴
保育所は、認定区分「2号」および「3号」の子どもを預けることができる施設です。
2号認定の子どもとは満3歳以上であって小学校就学前の子どものことであり、保護者の労働や疾病などにより家庭での保育が困難な場合に認められます。
3号認定の子どもとは満3歳未満の子どものことで、2号同様、保護者の労働や疾病などにより家庭での保育が困難な場合に認められます。
「保育を行うための施設」であるということがポイントであり、その所管も厚生労働省に属します。また、根拠法令も児童福祉法に基づいており、この点後述の幼稚園とは異なっています。
幼稚園の特徴
幼稚園は、認定区分「1号」の子どもを預けることができる施設です。
1号認定の子どもとは、満3歳以上の小学校就学前のであり2号認定以外の子どものことです。
「教育を行うための施設」であり、所管も文部科学省、根拠法令も学校教育法です。
認定こども園の特徴
認定こども園は、1号から3号、いずれの認定区分の子どもであっても利用が可能な施設です。
子育て支援を総合的に行うため、幅広い受入れを可能としています。所管も内閣府・厚生労働省・文部科学省であり、根拠法令は「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」とされています。
認定こども園の4類型
認定こども園にはさらに以下の4つの類型があります。
- 幼保連携型
- 幼稚園型
- 保育所型
- 地方裁量型
幼保連携型では認可幼稚園と認可保育所が連携し、一体的な運営が行われます。学校でありつつ児童福祉施設としての法的性格を有しており、国や自治体、学校法人、社会福祉法人など幅広い主体が設置可能です。
幼稚園型は認可幼稚園ではあるものの、保育に欠ける子どもを対象に保育時間を確保するなど、保育所的機能も備える認定こども園です。つまり、保育所の機能も持った学校としての法的性格を有しています。なお、国や自治体、学校法人が設置主体になれることは幼保連携型と共通していますが、社会福祉法人は設置主体に含まれていません。
保育所型は、認可保育所が保育に欠けることも以外の子どもも受け入れるなど、幼稚園的機能も備えた認定こども園のことです。つまり、幼稚園的機能も持った児童福祉施設としての法的性格を有しています。設置主体に制限は設けられていません。
地方裁量型は、幼稚園、保育所、いずれの認可もない教育施設・保育施設が、認定こども園となったものです。職員の資格や給食の提供に関することなど、幼稚園型や保育所型と共通することも多いですが、設置主体に制限はありませんし、開園日・開園時間などの自由度も高く認められています。地域の実情に応じて設定することが認められています。
それぞれに認可基準など適用されるルールが異なりますので、施設を新設する場合などは、事前に専門家に相談しておくことが大切です。